FAQ

35の問いから知る、TAILOR Blades

オーダースーツについて、よくいただくご質問をまとめました。

このページを作るにあたり
ただ納期や価格、注文方法だけをご案内するFAQにはしたくありませんでした。

店選びをする際に参考にしていただけるように

当店の特徴や店主の思いや考え方をできるだけ率直にお伝えしたい、そんな思いで

35の質問にお答えしながら、TAILOR Bladesという店についてお話しします。


初めてTAILOR Bladesへお越しになる方へ

Q1. オーダースーツが初めてなのですが、大丈夫ですか?

もちろんです。

むしろ、最初からスーツに詳しい必要はまったくありません。

「仕事で、きちんとしたスーツが必要になった」
「結婚式に何を着ればいいか分からない」
「一度くらい、自分に似合うスーツを着てみたい」

どんな理由でも、それがきっかけになるには十分です。

生地のブランドやラペルの種類、英国式とイタリア式の違いなどを知っている必要もありません。

必要なことをご説明し、一緒に考えるのが私の仕事です。

私は、マニアだけが楽しめる店ではなく、初めて仕立服をつくる方にも、

「スーツって、こんなに面白いんだ」

と思っていただける店でありたいと考えています。


Q2. 何を注文したいのか、はっきり決まっていなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。

「ネイビーがいいような気がする」
「仕事で使いたい」
「今までより少し格好よく見せたい」

そういったイメージから始まることも多くあります。

どこで着るのか。
どんな仕事をしているのか。
普段はどのような服を着ているのか。
どのように見られたいのか。

そうしたお話をしながら、少しずつ形にしていきます。

ご自身の体型や見せ方を最初からイメージできる方の方が少ないので
安心してください。
最初から完成形を知っている方はかなりの上級者です。

まだ言葉になっていないイメージを整理し、その人に合う形へ落とし込むことも、仕立屋の大切な役割だと思っています。


Q3. 予約は必要ですか?

当店は、ご予約制とさせていただいております。
偶然通り掛かって店主が一人で暇そうでしたらお声掛けください(笑)
ご案内できる場合もございます。できない場合は申し訳ありません。

初めてのお客様には、着用目的やお好みをうかがい、生地やデザインをご相談したうえで、採寸とフィッティングを行います。

せっかくお越しいただくのですから、ほかのお客様を気にせず、落ち着いてお話しいただける時間を確保したいと思っています。

ご予約のうえ、ご来店ください。


Q4. 初回はどのくらい時間がかかりますか?

初めてのお客様でご注文をお考えのお客様は通常90分から120分ほどお時間をいただいています。
(ご相談だけご希望のお客様には30分でご予約承っております。詳しくはこちらをご覧ください)

着用目的やお好みをうかがい、生地、スタイル、ボタン、裏地などをご相談したあと、採寸とフィッティングを行います。

もちろん、早く決めることが目的ではありません。

何千種類もの生地を眺め、触れ、迷う時間も、オーダーの楽しみのひとつです。


Q5. 完成まで、どのくらいかかりますか?

通常のスーツは、約1か月から1か月半が目安です。

コートは約1か月半から2か月ほど。
仮縫いを行う場合は、さらに1ヶ月程度お時間をいただきます。

生地や縫製工房、時期によっても異なります。また、注文時期でもう少しお時間をいただく場合もございます。着用日がお決まりの場合は、できるだけ余裕をもってご相談ください。

完成後は当店で検品し、ご来店時に最終フィッティングを行います。

必要があれば調整を加え、お渡しします。

遠方やスケジュールの関係でどうしてもご来店できない場合は
発送も行なっておりますが、最終的に気になることがあれば即対応しますので、
できるだけご来店にてお受け取りいただくことをお勧めしております。


Q6. 価格はどのくらいからですか?

現在、スーツ2ピースは、次の価格からお仕立てしています。

Standard/Made to Measure
110,000円から

Exclusive/Made to Measure
140,800円から

Premium/Bespoke
495,000円から

価格だけを見れば、当店より安価なオーダースーツ店はたくさんあります。

当店が目指しているのは、「とにかく安くオーダーできる店」ではありません。

服地、縫製、型紙、フィッティング、体型補正、そして完成した一着のバランスまで含め、価格に見合う仕立服をご提供することを大切にしています。

ご予算がある場合は、最初に遠慮なくお伝えください。

その範囲で何ができるのかを考え、正直にご提案します。


Q7. スーツ以外も注文できますか?

はい。

ジャケット、トラウザーズ、ウエストコート、コート、シャツなどもお仕立てしています。

ビジネススーツだけではなく、成人式、結婚式、タキシード、礼装、ジャケットスタイルなど、ご用途に合わせてご相談ください。

私は、スーツだけを単独で考えているわけではありません。

シャツ、ネクタイ、靴、着用する場面まで含め、最終的にその方がどう見えるか。

装い全体で考えることを大切にしています。


身体とフィッティングについて

Q8. オーダースーツなら、身体にぴったり合わせれば格好よくなるのでしょうか?

これは、とても大切なところです。

私は、

「身体にぴったり合っていること」と
「格好よく見えること」は、

必ずしも同じではないと考えています。

身体の線をそのまま服に写せばいいのであれば、仕立屋の仕事は寸法を測るだけで終わります。

胸をどのように見せるのか。
肩をどのようにつくるのか。
ウエストをどこで絞るのか。
脚をどのように長く見せるのか。
着丈をどこに置くのか。

身体そのものではなく、服を着たときにどう見えるかを考えることが重要です。

採寸は数字を取る作業ですが、フィッティングは数字だけではできません。


Q9. 細身のスーツの方が格好よく見えますか?


必ずしもそうではありません。

細身のスーツが流行した時期もありましたが、細ければ細いほど格好よくなるわけではありません。

スーツは世界中で着られてきた服であり、長い歴史の中で培われた基本的なバランスがあります。

もちろん、モードやステージ衣装のように、意図的にそのバランスを崩すこともあります。

しかし、日常で着るスーツであれば、細さだけを追い求めるよりも、スーツ本来の美しいバランスを踏まえることが大切だと考えています。

身体に沿わせすぎると、姿勢や体型の特徴が必要以上に表れたり、動きにくくなったりすることもあります。

反対に、適切なゆとりがあるからこそ、胸や肩に立体感が生まれ、身体が美しく見えることがあります。

大切なのは、細く見せることではありません。

全身のバランスを整え、その方を格好よく見せることです。


Q10. お腹が出ている、肩幅が狭い、O脚など、体型に悩みがあります。

仕立服が力を発揮するのは、むしろそうした場合です。

人の身体には左右差があります。

肩の高さ、腕の付き方、胸の厚み、背中、骨盤、脚の形など、同じ身体はひとつとしてありません。

私はそれを、単純に「欠点」として見るのではなく、その方の身体の特徴として見ています。

特徴をそのまま強調する必要はありませんし、すべてを隠せばよいわけでもありません。

どこを整えると、全体が美しく見えるのか。

それを考えます。

体型を理由に、格好いいスーツを諦める必要はありません。


Q11. 日本人は、スーツが似合いにくいのでしょうか?

日本人と一括りにできないほど、一人ひとりの身体には違いがあります。

ただ、スーツが欧州で生まれ、欧州の人々の身体や生活文化の中で発展してきた服であることは確かです。

骨格、胸や背中の厚み、肩の形、腰の位置などが異なれば、同じようにつくっても見え方は変わります。

しかし、それを、

「日本人の身体が悪い」

という話にしてはいけないと思っています。

日本人が着物を着れば、とても美しく見えます。

身体には、それぞれの文化の中で育った服との関係があります。

だからこそ私は、日本人を無理に欧米人のような身体に見せるのではなく、一人ひとりの身体を理解したうえで、洋装としてどのように美しく見せるかを考えます。

これは、私が長い間スーツを着続け、国内外で数多くのオーダーを経験してきた末に辿り着いた、大切なテーマです。


Q12. 採寸やフィッティングでは、具体的に何を見ていますか?

寸法だけではありません。

ゲージ服と呼ばれるサイズ見本を着ていただき、肩の傾斜、前肩、姿勢、胸や背中の厚み、左右差、腕の付き方などを確認します。※ビスポークは除く

立っている姿だけでなく、歩き方や身体の使い方を見ることもあります。

そして同時に、

「この方を、どのように見せたいか」

を考えています。

同じ身体、同じ採寸値でも、つくる服のバランスによって印象は変わります。

どこに立体感をつくり、どこをすっきり見せるのか。

数値の先にある完成形を想像することが、フィッティングの仕事です。


Q13. 一度つくれば、次回は同じサイズでつくれますか?

前回のデータは大切に保管します。

ただし、次回もまったく同じものを機械的につくるわけではありません。

前回の一着を実際に着ていただいた結果を見ながら、

「ここは、もう少しこうしよう」
「今回は少し違う雰囲気にしよう」

と修正していくことがあります。

身体も少しずつ変化しますし、お客様自身の好みも変わります。

仕立服は、一着目で完成して終わるものではありません。

回数を重ねることで、

「自分は、こういう服が好きなのだ」

ということも見えてきます。

その変化も含めて、楽しんでいただきたいと思っています。


Q14. 今着ているお気に入りのスーツと、まったく同じものをつくれますか?

お気に入りのスーツを拝見し、その服のどこがお好きなのかを、新しい一着へ反映することはできます。

ただし、

「これとまったく同じものをつくってください」

というご依頼に対して、同じものができるとはお約束できません。

スーツは、外から測れる寸法だけでできているわけではないからです。

型紙の設計、肩のつくり、芯地、縫製方法、アイロンによる立体形成、生地の性質。

それらが変われば、同じような寸法にしても、まったく違う服になります。

特に、他店で仕立てられたスーツを数字だけ測り、そのまま再現することはできません。

まずは実物を拝見し、

肩の雰囲気が好きなのか。
胸まわりのゆとりが好きなのか。
着丈やシルエットが落ち着くのか。
着心地が好きなのか。

その服を気に入っている理由を、一緒に探します。

そのうえで、良いところは生かしながら、当店の型紙とフィッティングで新しい一着をご提案します。

同じ服のコピーではなく、

好きだった理由を受け継いだ、次の一着。

そのように考えていただくのが、最も近いと思います。

ご心配な場合は、お気に入りのスーツをお持ちください。

実際に拝見したうえで、できることと難しいことを正直にお話しします。

そして、できれば一度、TAILOR Bladesが考えるバランスも試していただきたいと思っています。


TAILOR Bladesの考え方

Q15. TAILOR Bladesは、どのようなスーツを格好いいと思っていますか?

一言では言えません。

柔らかなスーツも好きですし、構築的で力強いスーツにも魅力を感じます。

端正なシングルも格好いい。
華やかなダブルも格好いい。
抑制の利いた服にも、思い切り個性を表した服にも、それぞれの良さがあります。

大切なのは、服だけを見て格好いいかどうかではありません。

誰が、それを、どのように着るのか。

そこまで含めてスーツだと思っています。

私自身には、当然好みがあります。

しかし、私が着たいスーツと、お客様を格好よくするスーツは、必ずしも同じではありません。


Q16. 店主の好みを勧められてしまうことはありませんか?

私の好みや経験は、もちろん提案の土台になります。

ただ、それを押しつけるつもりはありません。

私はダブルのスーツが大好きです。

だからといって、すべてのお客様にダブルを着せたいわけではありません。

私が好きな服をお客様に着せたいのではなく、

その服を使って、その方にとっての格好よさを見つけたい。

そう考えています。

身体、職業、年齢、雰囲気、好み、着用する場所。

一人ひとり違うのですから、答えも違って当然です。


Q17. なぜ店主自身が、生地選びからフィッティングまで担当するのですか?

仕立服では、最初の会話と完成した服が、きちんとつながっていなければならないと思うからです。

最初にうかがった、

「このように見せたい」
「ここが気になる」
「こういう服は苦手」
「この服を着て、ここへ行きたい」

というお話を知っている人間が、そのまま採寸をし、フィッティングを行い、完成した服を確認する。

その方が、一着の方向性がぶれません。

当店では、生地を選ぶ人、販売する人、採寸する人が次々と変わるのではなく、私が責任を持って一貫して担当します。

お客様との会話を、最後まで一着の中に残したいと思っています。


Q18. 店主は、最初からテーラーだったのですか?

いいえ。

むしろ長い間、つくってもらう側でした。

10代からスーツに興味を持ち、20代から国内外のさまざまなテーラーでオーダーしてきました。

うまくいったこともあります。

大きな期待を抱いて待ったものの、残念な仕上がりになったこともあります。

期待して、失敗して、理由を考え、またつくる。

そのようなことを30年以上続けてきました。

その経験の先に、

「自分が理想とするものを、今度はつくる側になってみたい」

という気持ちが生まれました。

2014年に現在の店の前身となるbatak House Cut福岡店を開き、2019年にTAILOR Bladesを立ち上げました。

私は、作り手側から始まったというより、長い間、仕立服に悩み続けた客から始まった人間です。

だからこそ、お客様が完成を待つ気持ちも、期待していたものと違ったときの残念さも、よく分かります。


Q19. TAILOR Bladesが、一番大切にしていることは何ですか?

お客様が鏡を見たときに、

「いいな」
「これは自分らしい」
「今までより格好よく見える」

と思っていただけることです。

当店は、生地を売ることだけを目的とした店ではありません。

スーツという物をお渡しすることだけが目的でもありません。

仕立服という手段を使って、その方自身がよりよく見えること。

そして、その服を着たときに、少し自信を持っていただけること。

そこを一番大切にしています。


Q20. クラシックなスーツしかつくらない店ですか?

いいえ。

私は服の歴史やクラシックなスタイルが好きですし、そこから学べることは非常に多いと思っています。

ただし、昔の服をそのまま再現することが目的ではありません。
またクラシックなスーツを当時のまま着ればかっこいいとも限りません。

トラッドにも、モードにも、現代的なスーツにも、それぞれの良さがあります。

大切なのは、

「なぜ、それが格好よく見えるのか」

を理解したうえで、今それを着る人に合わせて再構成することです。

伝統を尊重することと、昔の服をそのままコピーすることは同じではありません。


Q21. 英国調以外のスタイルや、個性的な服もつくれますか?

もちろんです。

英国的な構築美も格好いい。
イタリアの柔らかな服も格好いい。
フランス的な華やかさにも魅力がある。
アメリカの合理的なスタイルや、モッズの細身で鋭い服も面白い。

格好いいと思うものであれば、国や流派にかかわらず学び、取り入れます。

ビジネススーツだけでなく、タキシード、モッズスタイル、個性的なジャケット、舞台で着る華やかな衣装などもお仕立てしています。

かなり派手なステージ衣装をつくることもありますが、私はそういう仕事も楽しんでいます。

ただし、何でもそのまま真似をするわけではありません。

お客様の身体や着用する場面に合わせて、

「どうすれば衣装に着られず、その方自身が格好よく見えるか」

を考えます。

クラシックという枠の中に、お客様を閉じ込めたいわけではありません。


Q22. 流行は取り入れますか?

もちろんです。流行り、と言うより、今にあっているか?は大事です。

いわゆる一過性の”流行”についてはケースバイケースです。

ただ流行しているからという理由だけでおすすめすることはありません。

スーツは決して安い買い物ではありませんし、数か月後には着づらくなるようなものを、積極的につくりたいとは思いません。

基本になるのは、長く見ても美しいバランスです。

そこへ、その時代らしい空気や、お客様の感覚をどのように加えるか。

流行に振り回されるのではなく、必要なものだけを上手に利用する。

そのくらいの距離感が、ちょうどよいと思っています。


Q23. 映画や昔の俳優のスーツを、よく研究するのはなぜですか?

服は、ハンガーに掛かっている状態だけでは分からないからです。

歩く。
座る。
話す。
人をエスコートする。
仕事をする。

人が動いたときに、服がどのように見えるか。

映画には、そのヒントが数多くあります。

フレッド・アステア、歴代のジェームズ・ボンド、ゴッドファーザーや
ウォール街など数えきれない映画、
往年、近年のハリウッド俳優、英国王室の装い。

長い時間を経ても格好いいと感じるものには、理由があります。

ただ昔の服が好きなのではありません。

シルエット、バランス、動いたときの見え方、着る人との関係。

そこから、現代の一着に生かせるものを探しています。


Q24. スーツに詳しい人ほど、楽しめる店ですか?

詳しい方には、かなり深いところまでお付き合いします。

生地の重さや織り、型紙、仕立て、過去のテーラーのスタイル、映画の衣装まで、いくらでも話せます。

一方で、何も知らない方には、必要なことから順番にお伝えします。

私はむしろ、

「スーツなんて、どれも同じだと思っていた」

という方が、

「こんなに違うんですね」

と言ってくださる瞬間が好きです。

初めての方には、入口から。
服が好きな方とは、さらにその先へ。
すでに自分のスタイルを持っている方には、そのスタイルをもっと深く。

どの地点からでも、仕立服を楽しめる店でありたいと思っています。


生地と一着の選び方について

Q25. 取り扱っているのは、英国生地が中心ですか?

品揃えとしては、英国製とイタリア製の生地が中心です。

そのため、

「英国生地を偏愛している店」

と思われることがあるようです。

確かに英国には、しっかりとした打ち込み、仕立て映え、耐久性、着込んだときの馴染み方など、私が魅力を感じる生地が数多くあります。

しかし、英国生地だけを特別扱いしているわけではありません。

英国でも、イタリアでも、アメリカでも、日本でも、正直なところ、国籍はどうでもいいのです。

産地による傾向を知ることは、生地を理解するうえで役に立ちます。

しかし、

「英国だから良い」
「イタリアだから柔らかい」
「日本製だから地味」

というように、浅い分類だけで生地を決めつけるつもりはありません。

実際に見て、触れて、仕立てた姿を想像して、

「これは格好いい」
「この生地なら、良い服になる」

と私の眼鏡にかなえば仕入れます。

英国偏愛というより、格好いい生地偏愛です。


Q26. 生地は、どのような基準で仕入れていますか?

有名なブランドだから、人気があるからという理由だけでは仕入れません。

色や柄だけでなく、重さ、ハリ、柔らかさ、戻り、落ち方、仕立てたときの立体感まで見ます。

手で触れながら、

「この生地は、服になったときにどう見えるか」
「どのようなお客様に似合うか」
「何年か着たあと、どのような表情になるか」

を考えます。

反対に、どれほど有名なブランドでも、私が良いと思えない生地は仕入れません。

もちろん、すべてが高価な生地という意味でもありません。

国産生地の中にも、ときどき、

「こんな生地が日本にあったのか」

と驚くような出会いがあります。

そういう生地を見つけたときは、産地や知名度にかかわらず仕入れます。

ブランド名を並べることよりも、お客様に自信を持っておすすめできる生地だけを置くこと。

それが当店の基準です。


Q27. 生地は、ブランドで選んだ方がよいのでしょうか?

ブランドも、選択基準のひとつではあります。

しかし、同じブランドでも、生地によって性格はまったく違います。

重さ、織り、ハリ、柔らかさ、光沢、色、耐久性。

そして、どのようなスーツに仕立てるのか。

私はブランド名よりも、

「この生地を、このお客様の、この一着に使ったらどうなるか」

を考えます。

有名だから選ぶのではなく、完成した姿から逆算して選ぶ。

ブランドの背景や歴史も楽しみながら、最後はご自身の一着としてふさわしいかどうかで決めていただきたいと思っています。


Q28. 高価な生地ほど、良い生地なのですか?

価格が高いことには、もちろん理由があります。

希少な原料、細い糸、複雑な織り、仕上げ、ブランド、供給量など、さまざまな要素があります。

ただし、

高価な生地=その方にとって最適な生地

とは限りません。

柔らかく光沢のある生地が向いている方もいれば、しっかりとした英国生地の方が格好よく仕上がる方もいます。

出張が多い。
毎週着る。
車に長時間乗る。
年に数回しか着ない。
特別な日に着る。

使い方によっても、選ぶ生地は変わります。

生地は値札ではなく、用途と仕上がりで選ぶものだと思っています。


Q29. 重い生地をおすすめすることがあるのは、なぜですか?

軽く柔らかい生地には、もちろん魅力があります。

ただし、軽さだけが正解ではありません。

しっかりとした重さのある生地には、仕立てたときの立体感、シワからの戻り、耐久性、着込んだときの馴染み方など、別の魅力があります。

400グラムを超えるような生地は、現在では以前ほど多くありません。

いつまで存在するかもわからないのが現状です。

だからこそ、服が好きな方には、一度経験していただきたいと思っています。

軽い生地にも、重い生地にも、それぞれ魅力や役割があります。

両方を知ったうえで、ご自身が好きなものを選ぶ。

それが一番楽しいと思います。


Q30. 黒いスーツは、喪服になりませんか?

日本では、

「黒いスーツ=喪服」

という印象が非常に強いと思います。

しかし、黒という色そのものが、喪服なのではありません。

生地の質感、織り、光沢、デザイン、仕立て、合わせるシャツやタイによって、ブラックスーツは非常に洒落た服になります。

タキシードのような夜の装いにも、黒は欠かせません。

もちろん、弔事にふさわしい服には、そのための考え方があります。

しかし、固定観念だけで黒という色の可能性を狭める必要はないと思っています。

黒にも、さまざまな黒があります。


Q31. シャツまでオーダーする必要がありますか?

必ず必要というわけではありません。

ただ、きちんとスーツを着たい方には、一度、身体に合ったシャツを経験していただきたいと思っています。

シャツは、スーツの内側にある下地のような服です。

首まわり。
肩。
アームホール。
袖丈。
手首。
ジャケットから見えるカフスの量。

わずかな違いですが、それが装い全体の見え方を変えます。

そして、肌に直接触れる服ですから、着心地にも大きく影響します。

スーツがきれいに仕上がっていても、その下のシャツが合っていなければ、襟元や袖口が落ち着かず、全体が美しく収まらないことがあります。

だから私は、シャツを軽んじない方がよいと思っています。


装うことと、自分らしさについて

Q32. 「似合う」と「好き」が違う場合は、どちらを優先しますか?

これは、とても面白い問題です。

私は、

「似合うから、これにしましょう」

と一方的に決めたくありません。

本人がまったく好きではない服を、他人から似合うと言われて着ても、楽しくないからです。

反対に、「好き」だけを優先すると、その方を美しく見せない場合もあります。

だから私は、

好きなものを、似合う形に近づける。

そこを考えます。

色を少し変える。
柄の大きさを調整する。
シルエットを整える。
ディテールの強さを変える。

オーダーには、それができます。

「好き」と「似合う」の間に、仕立屋の仕事があると思っています。


Q33. セオリーから外れた服や、人から派手だと思われる服でもつくってもらえますか?

はい。

お客様に、

「どうしても、これを着たい」
「自分は、こう着たい」

という明確な思いや信念があるのなら、私はそれを全力で支えたいと思っています。

服には、確かにセオリーがあります。

体型を美しく見せるバランス。
場にふさわしい装い。
色や柄の組み合わせ。
長い時間をかけて培われてきたルール。

私は仕立屋として、それらをきちんとご説明します。

場合によっては、

「このように見える可能性があります」
「一般的には、こちらの方が整って見えます」

と、率直にお伝えすることもあります。

専門家として、何も言わずにお客様へ合わせるだけでは、無責任だからです。
ただし、あまりにも当店のスタイルから逸脱している場合はお断りしております。

しかし、セオリーは、人を縛るための法律ではありません。

説明を聞いたうえで、それでもお客様が、

「自分は、これが格好いいと思う」
「それでも、これを着たい」

と思われるのであれば、その感覚を大切にしたいと思います。

たとえ一般的なセオリーから外れていても、ほかの人から奇抜に見えたとしても、本人が心から格好いいと思い、堂々と着ることができる。

究極的には、それこそが装うことの意味だと私は思っています。

他人から与えられた正解よりも、自分で選び取った服の方が、その人らしく見えることがあります。

仕立屋が正解を押しつけるのではなく、専門家として必要なことをお伝えしたうえで、お客様の選択を形にする。

それが、私の考えるオーダーです。


Q34. 自分らしいスーツとは、どのようなスーツですか?

派手な服を着ることだけが、「自分らしい」ということではありません。

反対に、控えめな服が自分らしくないとも限りません。

性格、仕事、立場、身体、話し方、生き方。

さまざまなものが重なって、その方の雰囲気になります。

服ばかりが前に出るのではなく、

「何だか、この人は格好いい」

と感じさせる。

私は、そのような状態が理想だと思っています。

ただし、それは必ずしも無難な服を着るという意味ではありません。

強い服を着たい人は、強くてよい。
華やかな服を着たい人は、華やかでよい。
静かな服を着たい人は、静かでよい。

大切なのは、その服と着る人が離れていないことです。

スーツだけを目立たせたいのではなく、着ている人をよく見せたい。

その方が選んだ服を、その方自身のものとして成立させたいと思っています。


Q35. 結局、TAILOR Bladesは何を届けたい店なのでしょうか?

スーツです。(正しくは当店のアイテム全部です)

しかし、本当は、スーツだけではありません。

私は10代の頃、

「スーツって格好いいな」

と思いました。

そして、自分も格好よく着てみたいと思いました。

そこから何十年も、服を買い、失敗し、学び、またつくり、映画を見て、本を読み、生地を触り続けてきました。

今度は、その経験をお客様のために使いたいと思っています。

日本では、スーツを着る機会はあっても、

「どうすれば、自分が格好よく見えるのか」

を教わる機会は、それほど多くありません。

だから私は、その方の身体を見て、その方のお話を聞いて、その方にとっての格好よさを一緒に考えたい。

初めてスーツを仕立てる方には、

「スーツって、こんなに楽しいんだ」

と思っていただきたい。

すでに服が好きな方には、

「まだ、こんな世界があったのか」

と思っていただきたい。

そして、すでに自分のスタイルを持っている方には、その方が大切にしてきたものを理解したうえで、新しい一着をご提案したい。

誰もが、格好よくありたいという気持ちを、どこかに持っていると思います。

世間の正解ではなく、自分自身が鏡を見て、

「これが自分だ」
「これが格好いい」

と思える服をつくる。

その思いを、仕立服という形にする。

それが、TAILOR Bladesという店です。